【探求の時間】マネジャー成長の心理学-成功の罠と3つのステップを深掘り①
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【探求の時間】マネジャー成長の心理学 「自分が主役」から「他人が主役」へ -成功の罠と3つのステップを深掘り
マネジャー成長プロセス3段階と心境の変化②
前回まで、マネジャー成長プロセスと心境の変化を3段階に整理し、第1段階、第2段階と順に話してきました。その続きです。
3.第3段階「マネジャーレベル」
第3段階は、マネジャーレベルです。この段階は、マネジャーとしての役割が質的に大きく転換する段階です。単に仕事を振る、ではなくて、権限と一緒に責任も移譲する、これが基本スタンスになります。部下に任せるというのは単なる作業指示ではなく、部下の能力や意欲を見極めたうえで、挑戦的な仕事も含めて、達成までのプロセスを信じて託すという意味合いが強いです。
ところで、第2段階の人に任せきれない状態から、どうやってその心境に至るのでしょうか。何かきっかけがあるのでしょうか。それはマネジャー自身の成功体験の再定義が起きるからだと考えられます。第3段階に至るマネジャーは、自分が成果を出すことではなくて、部下が成果を出すこと、部下が成長することを自らの成功とか喜びと感じられるように、価値観が変わってきているのです。
部下が直面するであろう困難を予測して、それを乗り越えるための支援、例えば問いかけによって気づきを促したり、必要なリソースを提供したり、フィードバックしたり。でも決してこたえを直接与えたり、代わりに問題を解決したりはしない。部下自身の力で達成できるように、ともに伴走して環境を整えることに注力するのです。部下の自律的な成長を促すための環境設定や支援に重点が置かれるのです。
この段階が会社の成長につながるのは、個々のメンバーが成長して、自律的に動けるようになって、チーム全体のアウトプットが飛躍的に上がるからです。個々のプレイヤーの能力の足し算ではなく、チームとしての相乗効果を生み出すこと。これがこの段階のマネジャーの重要な役割になります。部下が成長して、より大きな責任を担えるようになれば、マネジャー自身はさらに戦略的な業務とか、新しいチーム課題に取り組む余裕が生まれる。この好循環がチーム全体のパフォーマンス向上、ひいては組織全体の成長へとつながっていくわけです。
心境としては、部下の成功を自分のことのように喜び、部下の挑戦を心から応援できる状態。そして、チーム全体の未来を見据えた視点を持つようになる。これが第3段階のマネジャー像と言えるでしょう。
4.まとめ
プレイヤーとして輝く第1段階、プレイヤー兼任で奮闘する第2段階、そして部下の育成とチームの成長にコミットする第3段階。この移り変わりは、自分が主役の舞台から降りて、他人が輝く舞台を作って支える、役割の変わっていくプロセスです。
さて、あなたはこの一連のプロセスをどう捉えるでしょうか。ご自身の経験や見聞きしてきたマネジャーたちの姿と重ねると、どんな発見があるでしょうか。
マネジャーが個人のプレイヤーから、チームを育てて成果を出す存在へと進化していく道のり、特に内面で起きる意識の変化について深く考えてきました。自分が主役であることから、他人が主役になる事への移行。これは単なるマインドセットの変化ではなく、マネジャー自身のあり方とか価値観の変容を伴う深いプロセスであるということが分かります。
この主役交代ともいえる転換は、ときには痛みを伴うかもしれません。自分が得意としてきたことから距離を置いて、不確実性の高い人の成長にコミットするというのは、勇気のいることです。でもこの転換を乗り越えた先にこそ、マネジャーとしての、そして一人の人間としてのより大きな成長とか貢献があるかもしれない。本日議論したマネジャーの成長プロセス3つの段階は、その成長の道しるべとなるものでしょう。部下の可能性を信じて、その開花を支援することに喜びを見出す。そういう視座を持つことが個人にとっても組織にとっても、持続的な発展のカギを握っていると言えそうです。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。