【探求の時間】人の成長3段階-人の成長プロセスとは?スキル習得と自己成長の本質にせまる②
2025年10月26日【探求の時間】マネジャー成長の心理学-成功の罠と3つのステップを深掘り②
2025年11月6日
【探求の時間】マネジャー成長の心理学 「自分が主役」から「他人が主役」へ -成功の罠と3つのステップを深掘り
マネジャー成長プロセス3段階と心境の変化①
今日は、マネジャーの役割がどう変化し成熟していくのか、その過程でどんな内面の葛藤とか変化があるのかを考えます。
マネジャーの成長プロセスには、自分が主役の状態から他人が主役へと意識が移っていく間のグラデーションがあります。
そこで、多くのマネジャーが通る道筋を3つのステップに整理しました。第1段階は、プレイヤーレベルです。第2段階はプレーイングマネジャーレベルです。第3段階は、マネジャーレベルです。この3つの段階に沿って、マネジャーとしての成長プロセスにおいて核心にある心理的な動きを理解したいと思います。
1.第1段階「プレイヤーレベル」
第1段階は、プレイヤーレベルです。多くの人がマネジャーになった直後に経験するであろう段階です。この第1段階は、「名プレイヤー必ずしも名監督にあらず」を体現するような段階です。個人として非常に高い成果を出して、その実績でマネジャーになったばかりの時期に陥りやすい状況があります。
まず、部下を預かっても仕事を結局「自分でやってしまう」ということがあります。これは単に効率だけの話ではないことが多い。背景には、自分がプーイヤーとして積み上げてきた成功体験への強い自負と、それを手放すことの無意識の抵抗感みたいなものがあるのかもしれません。自分のやり方・自分の基準が絶対的なものに感じられて、部下に任せたら質が下がるのではないか、時間がかかるのではないかという不安が先に立ってしまう。あるいは部下の失敗が自分の評価に響くのではないかという恐れがあるのかもしれません。「任せられない」という言葉の裏には、心理的な壁があるのではないでしょうか。
過去の成功体験が、自分ならもっとうまくやれる、という自信あるいは過信につながりやすい。部下の能力を冷静に見極めるとか、成長の可能性を信じて待つ、というよりは、自分が動いたほうが早いし確実だ、という思考に短絡化しやすい。さらに、プレイヤー自体の、自分で完結させる、達成感に慣れていると人を介して物事を進めること自体にストレスを感じてしまいます。
心境としては、期待とかプレッシャーの中で、つい慣れたやり方に戻ってしまう、そういう時期でもあります。プレイヤーとしての成功体験が、逆にマネジャーとしての第1歩を妨げるような成功の罠のようになっているのです。プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、この罠から抜け出すのが難しいのかもしれません。
2.第2段階「プレーイングマネジャー」レベル
この状態から進んで、第2段階は、プレーイングマネジャーレベルです。この段階で陥りやすいのは、人に任せつつ、結局最後は自分でやる、部下のできないことを自分がやる、という点があります。この段階は、マネジャーとしての自己認識が揺れ動く、非常に悩ましい段階と言えます。
部下に任せるべきだという理性と、自分がやったほうが早い・確実だという本音。あるいは、チームの成果を守らなくてはという責任感。その間で常に綱引きが行われているような状態です。人に任せつつ、部分的な業務の委任を行うようになるので、第1段階から進歩しているといえますが、結局最後は自分でやることになります。これは任せた仕事の品質が心配でつい手直しするとか、締め切りが迫ってきて間に合わせるために自分で巻き取ってしまうとか、そういう事が起きます。部下の能力とか成長スピードに対する不信感とまではいわなくても、完全に信頼を置くまでに至っていない。部下が困難に陥っている状況を見ると、助けてあげなきゃという思いが先に立って、本来部下が乗り越えるべき壁まで自分が取り除いてしまうとか。部下のできないことを自分がやるのは、単なるフォローアップを超えて、部下の成長機会をある意味奪ってしまっている可能性もあります。
マネジャー自身としてはチームの成果も保ちつつ、部下にも関与しているという感覚かもしれないですが、これはかなり負荷の高い状態です。プレイヤーとしての自分の能力でチームのアウトプットの穴を埋めているような。この段階のマネジャーはしばしば、自分が一番忙しいと感じています。自分の仕事を抱えながら、部下の仕事の進捗を常に気にかけて、必要があれば介入する。精神的にも時間的にも余裕がなくなりがちです。心境としては、「任せたい、でも任せきれない」というジレンマと、「自分がやらなきゃ」という責任感が常に交錯している。育成への意識は芽生えつつも、まだ管理とか業務遂行の比重が大きいと言えます。この過渡期をどう乗り越えるかが次へのステップへの鍵になります。
自分でやったほうが早いという短期的な効率と部下を育てるという長期的な投資、この間で揺れ動いている。この葛藤を乗り越えた先にあるのが第3段階のマネジャーレベルです。ここでは部下に任せて育成を管理する状態になります。ここではじめて意識のベクトルが本格的に自分から他人に向かうということになります、この転換はどのような変化を伴うでしょうか。(マネジャー成長プロセス3段階と心境の変化②へつづく)
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。