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2025年8月23日
探求の時間 「業務手順書は戦略実行の設計図」
(添付スライドの概要)
このスライドは、組織がその目標を達成するための階層的なアプローチを説明しています。まず、組織は経営理念、ミッション、ビジョンを明確にし、それに基づいて事業目標と事業計画を策定します。これらの戦略的な目標を遂行するために、具体的な「組織」が形成され、「仕事の設計」や「業務規程」といった業務レベルの設計が行われます。最終的に、「業務手順書」は戦略を実行・実現するための具体的な手段であり、まさに「業務実行の設計図」として機能します。このように、経営レベルの戦略が業務レベルの具体的な行動へと繋がり、一貫した実行を通じてフィードバックと改訂が繰り返されることで、組織全体の目標達成が図られるという構造を示しています。
業務手順書の存在意義-業務手順書は戦略実行の設計図
1.経営レベルの視点
企業の根幹に経営理念があります。ミッションとかビジョンとか言われるものです。これがないとそもそも会社としてどこに向かうのかが定まらないものです。この理念が具体的な事業目標や事業計画に落とし込まれていきます。最終的にどうやってそれを達成するかという経営戦略が決まります。すなわち、戦略があってそれを実行するために、はじめて事業を遂行するための組織が形づくられる。思い付きで組織をつくるのではなく、戦略ありきで、それを最も効率的・効果的に実行できる組織構造はどうあるべきか、と考えるのが基本です。
その戦略が次に業務レベルに展開されます。
2.業務レベルの視点
決まった戦略が日々のオペレーション、すなわち日々の業務にどのように反映されるかが重要になります、ここで仕事の設計、業務規程、業務手順書が登場します。業務手順者は単なる作業マニュアルのように捉えがちですが、戦略を実行・実現するための手段を具体化したもの、すなわち業務実行の設計図です。
なぜ業務手順書が戦略の設計図なのか。単なるマニュアルと考えると、忙しいときなどは省略したりということもあり得ます。でも設計図と考えるとどうでしょうか。たとえば家をたてるときに設計図を無視したら、大変なことになります。それと同じようなリスクが戦略と日々の業務がズレたときに生じる可能性があるわけです。
だから手順書は抽象的な戦略を具体的な行動レベルに落とし込むための、まさに実行のための設計図なのです。この設計図の視点が欠けると、戦略が絵に描いた餅になりかねないということです。ちなみに業務規程がルールの大枠、法律みたいなものだとすると、手順書は施行規則というか、具体的なハウツーを担う。そういう関係になります。
3.フィードバック・ループ
フィードバック(改訂)について考えてみましょう。業務手順書は一方的なトップダウンだけで成り立つのではなく、実際に業務をやってみた結果、この手順は効率が悪いな、市場の状況とあってないぞ、というような情報が現場からフィードバックされる。それが業務手順書の見直し、規程の改訂、場合によっては戦略そのものの見直し、つまり改訂につながっていく。戦略と現場とは、常にこのフィードバック・ループを通じて整合性を保とうとする。そういう動きのある動的な関係にあるべきものです。
4.成長のための実益
経営理念から始まって、戦略、組織、業務規程、業務手順書、フィードバックという一連の流れが示されましたが、これを理解することが、果たして「組織を見る目を持とう」、あるいは「組織をより良くしよう」と考えているあなたにとって、具体的にどんな意味があるのでしょうか。
これは、組織の構造や日々の業務のルールが決して場当たり的に決められているのではなく、上位にある戦略とか、もっといえば理念から論理的に導かれて、それを支えるために存在しているんだという原則をまず理解することが重要です。
そしてもし、自身の業務や所属する部署の役割に疑問を感じたときは、この流れに立ち返って、今の戦略とどうつながっているのだろうか、ちゃんと貢献できているだろうかと自問してみる。これが改善の第一歩になるのではないでしょうか。自分の仕事の意味を、大きな流れの中で捉え直すきっかけになるということです。
5.まとめ
企業のありたい姿である理念が、進むべき道すなわち戦略を定めて、その道を進むための乗り物としての組織と、運転方法としての業務や手順書が決まる。そして実際に走ってみた結果、フィードバックをもとに、よりよい走り方とか、ときには目的地自体を見直していく、そういうダイナミックなつながりが見えてきます。
重要なのは、すべてがつながっている、その一貫性と連動制です。どんなに素晴らしい理念や戦略があっても、現場の業務手順という設計図に適切に落とし込まれて実行されないと意味がありません。逆に、現場の小さな改善提案のようなものも、きちんとフィードバック・ループに乗れば、戦略レベルに影響を与える可能性もあるわけです。このように全体がつながって機能しているわけです。
さて、もし業務手順書が戦略から導かれる業務実行の設計図だとしたら、経営戦略が大きく方向転換した場合に、現場の設計図である業務手順書の更新がまったく追いつかなったとしたら、その組織では何が起こると考えられるでしょうか。このあたりに、企業存続・盛衰のカギがありそうです。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。