【探求の時間】マネジャー成長の心理学-成功の罠と3つのステップを深掘り②
2025年11月6日【探求の時間】業務の引継ぎを組織的に進化させる4つの型②
2025年11月29日
業務の引継ぎを組織的に進化させる4つの型①
今回の「探求の時間」は業務の引継ぎというテーマを深掘りしていこうと思います。
業務の引継ぎは多くの人が経験する地味だけどでも非常に厄介な問題です。業務の引継ぎがうまくいかなくてプロジェクトが止まったり、顧客からの信頼を失ったり。あるいは、担当者が変わるたびに、秘伝のたれのレシピが失われるような、ノウハウが消えていってしまい企業力が低下していくというようなことはないでしょうか。
一方で、引継ぎが完璧に型にはめて効率を上げるのは、新しい発想や改善の目をつんでしまうのではないかという心配もあります。効率化と標準化を進めすぎて組織が硬直化してしまうのではないか。かといって個人の裁量に任せすぎると業務品質が安定しないこともあります。
このような両面の問題をふまえて、今日は業務の引継ぎを4つの階層で進めていく方法を紹介します。引継ぎが起きるたびに会社のノウハウが洗練化され成長発展につながるように、引継ぐべきポイントを①仕事の流れ、②行動の型、③資料の型、④思考の型に整理しました。
①仕事の流れ 業務フロー、工程╱作業の手順
②行動の型 どのように行動すべきかの基準
③資料の型 どの場面でどのようなインプット資料・アウトプット資料を使うのか
④思考の型 判断基準・優先順位・重視する価値観
引き継ぎを単なる作業伝達ではなく、4つの類型で捉え直すことで、組織の知識を進化させつつ、深化もさせる仕組みとしてデザインできますので、順に説明していきたいと思います。
なおここでいう「型」は、一度作ったら変えられないようなものではなく、むしろ常に改善更新されていく、生きた設計図と捉えるべきです。引継ぎのたびに、前任者の知恵が加わって、この設計図がより洗練されていく、そんなイメージです。
第1の類型 仕事の流れ
第1の類型は、「仕事の流れ」です。仕事の流れは、業務フローとか作業手順とか、何をどのような順番でやるか、という骨格の部分です。製造現場なら工程図、営業なら商談プロセス、というようなものです。仕事の設計であり、どのような仕事をするのかの基本になるものです。
第2の類型 行動の型
ただ不思議なことに、同じマニュアルを元にしても人によって成果が全然違うということがあります。同じレシピをみながらつくっても、プロの料理人と素人では味が全く違うようなことがある。この差はいったどこから来るのでしょう。
これは仕事の流れという骨格だけでは不十分で、そこに血肉を通らせるものが必要になるということであり、これが第2の類型である「行動の型」です。つまり「どのようにやるか」という部分です。
たとえば営業部門の場合には、分析思考行動パターン、いわゆるトップセールスがやっている無意識にやっている顧客への質問の仕方とか、提案のタイミングとか、そういう勝ちパターンを言語化するということです。ただ、個人のスキルとかセンスとか、暗黙知的なものを組織の誰もがアクセス可能にするために言語化・マニュアル化するというのは難しそうです。
確かに、すべてを網羅した完璧なマニュアルを作ることは不可能です。ここで重要なのは、結果に至るまでの思考プロセスを可視化することです。
たとえば、「なぜそのタイミングでその提案をしたのか」という問いに対して、トップセールスが「お客様と話した状況から、予算よりも納期を気にしていると判断したからです。」と答えたとします。
この「判断の根拠」を注意点・ポイント集のような形で共有するだけでも、後任者は単なる手順ではなく、状況に応じた判断の仕方を学ぶことができる。これが「行動の型」を継承するということです。単なる行動のリストではなく、その裏にある判断のロジックをセットで引き継ぐわけです。それなら応用が利きそうです。(第2回の「業務の引継ぎを組織的に進化させる4つの型②」に続く)
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。