【探求の時間】目標達成の秘訣3「実践と応用」-繰り返し練習して習慣にまで高める
2025年10月12日【探求の時間】人の成長3段階-人の成長プロセスとは?スキル習得と自己成長の本質にせまる②
2025年10月26日
【探求の時間】人の成長3段階-人の成長プロセスとは?スキル習得と自己成長の本質にせまる
人の成長プロセスを考える①
人は研修や日々の経験を通じてどうやってスキルを身につけ成長していくのでしょうか。同じ研修を受けても成長する人と成長しない人に分かれます。その違いはどこにあるのでしょうか。
人の成長プロセスには段階があり、次のステップに進まなければ成長は滞るということです。そのプロセスを3つの段階に整理します。第1段階は、「知る・わかる」、第2段階は「行う・できる」、第3段階は、「教える・高める」です。
第1段階は、「知る・わかる」であり、研修を受けて新しい知識を得る、あるいは既存の知識の理解を深める段階です。まさに学びの入り口です。ここはまず情報や知識をインプットするフェーズです。
研修に参加する、本を読む、上司や先輩からアドバイスを受ける、マニュアルを読むとか。新しい知識・概念にふれる。あるいはすでに知っている知識について、理解を再確認する。まさに「わかる」という感覚を得る段階です。料理に例えるなら、レシピを読んで手順や材料を頭に入れる段階です。また実際には作ってはいないけど、どういうものかはわかった、というレベル。
ただ、ここで注意したいのは、わかるという感覚の質です。単に情報を記憶するだけでなく、それが何を意味するのか、なぜそうなるのかという背景や理屈まで含めてちゃんと腹落ちしているか、ということです。表面的な理解だと次のステップに進んだ時につまずきやすい。「知っている」と「わかっている」の間にグラデーションがあるわけです。一度学んだことでも、後で経験積んでからもう一回学び直すと、ああこういうことだったのか、と見えてきたりします。
この段階においては、つい受動的になりがちですが、能動的に関わることも可能です。ただ聞いているだけでなく、疑問点があれば質問するとか、関連情報があれば自分で調べてみるとか。そういう行動は「知る・わかる」の質をぐっと高めます。インプットの段階からどれだけ深く、思考をめぐらせられるかというのは、のちのちの成長の確度に影響します。
説明を聞いたり資料を読んだり、知識を得て「わかる」となったとしても、まだその時点では「できる」とは限りません。頭での理解と、それが実際にできることの間にはギャップがあるわけです。そのギャップを埋めていくのが次のステップです。
第2段階は「行う・できる」であり、学んだことを実践する段階です。ここからが本番で、知識が体感を伴ったものにかわっていくプロセス。成長のエンジンといってもいいでしょう。
実践を通じて新たな疑問や気づきがわき、「調べる」「考える」「実践する」を繰り返してはじめて成果が出せるようになる。やってみることで初めて教科書通りにはいかない現実や、マニュアルには書いていなかった細かな問題点に直面します。「思ったより難しいぞ」「この場合はどうすればいいのか」などの疑問です。そこで思考停止するのではなく、調べる、考える、実践するというサイクルを回すことが大事です。
まず調べる。もう一回マニュアルを確認したり、詳しい人に聞いたり、別の方法を探してみたり。次に、考える。得られた情報をもとに、どうすればうまくいくかなと自分なりに仮説を立てたり工夫したりします。そして再度実践する。試してみてその結果を見てまた検証する。この繰り返しによって、単なる知識が自分自身の経験に裏打ちされた「できる」というスキルに昇華していくわけです。(人の成長プロセスについて考える②につづく)
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。