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2022年10月10日
事務所の改善、間接業務の効率化・時間短縮の進め方についてポイント解説をします。
間接業務とは
業務を直接業務と間接業務に分けて捉えることがあります。直接業務は仕事・売上に直接関係性が把握できる業務であり、間接業務は直接業務・売上に間接的に貢献している業務です。
直接業務の改善に比べて、間接業務は仕事のプロセスが他者からは見えにくく(アウトプット情報のみ)、プロセス改善が難しいと言われます。プロセスの設計が本人に委ねられ、本人の能力や考え方に左右されるので、仕事のバラつき・非効率が生じやすいのです。
間接業務の効率化の必要性
① 仕事の複雑化・煩雑化
製造業では多品種・小ロット生産・多頻度納品化が進み、仕事が複雑化しています。そこで製造部門の業務改善、時間短縮は古くから進められてきた中で、製造事務・間接業務・スタッフ部門の改善も必要性高まっています。
② 雇用の流動化
雇用の流動化が進み、転職と中途入社が一般的になった結果、職場では人の入れ替わりの回数が増え、それに伴って教える回数も増えています。仕事の教え方に工夫が必要で、仕事を教える・引く継ぐ仕組みがないと、仕事にバラつき・非効率が生じやすくなります。
③ 働き方改革
仕事の時間短縮が言われる中、業務の効率化が伴わず、管理職に仕事が集中する時代背景がありました。最近は働き方改革によって業務改善・残業時間短縮について全社的に取り組むことが求められてきました。
働き方に対する社会的・時代背景の変化を踏まえて、間接業務の効率化の必要性が高まっています。そして単に時間短縮をするだけでなく、業務の効率化の結果、時間が短縮され、仕事の能率も上がって生産性が向上するような取り組みが求められています。
業務改善のポイント
業務の効率化のポイントは、仕事の属人化から標準化にシフトしていくことです。
残業超過が常態化している職場の共通点は、仕事がすべて属人化しているということです。仕事が属人化していると仕事の進捗や負荷の様子が本人以外にはわからず、仕事はすべて本人次第、となっていきます。
仕事ぶりが他から見えないと修正の対処もできず仕事がたまって仕事が遅れていきます。問題が起きそうかどうかも外からは見えないので、本人が仕事を抱え込んでしまうと対処が遅れます。仮に本人が仕事を忘れたりした場合にも他者からはわからないので、クレームになってから表面化して、対応が手遅れになるということもあります。そもそも仕事が改善されていくかどうかは本人の能力次第で場合によってはいつまでも改善されず、さらに他者は手伝うこともできません。
そこで仕事を標準化することが必要です。まず仕事の進め方について、会社として仕事を設計するようにします。
仕事のプロセスを明確にしたうえで、仕事を任された人が仕事をプロセスに沿って実行するようにします。もし改善点が出てきた場合は改善提案を行い、仕事の進め方を会社として変更・改善していきます。
図面に基づいて製品づくり・製品改良を行うのと同じように、業務も仕事の設計に基づいて遂行し、改善・改良の必要性があれば仕事の設計を見直すようにします。
これらをその人次第・その人任せにしてしまうと、その人が仕事を設計することになり、その人にしかわからない、その人にしか対応できない仕事が出来上がってしまいます。
これだと上記の属人化の問題が起きて、仕事の効率化が進まず、時間超過の職場になっていくのです。
間接業務の効率化の進め方
間接業務の効率化は、基本的には次の4ステップで進めます。
STEP1 業務の把握
STEP2 仕事の設計(+見える化)
STEP3 ロス・ムダの分析
STEP4 時間管理
STEP1 業務の把握
まず業務の把握です。業務の分類、区分を行い、職場にどのような仕事の単位が存在しているかを把握します。業務フロー図を作り、業務単位ごとのつながりを整理して図にまとめます。
STEP2 仕事の設計(+見える化)
把握した業務の単位ごとに、そのような作業内容が求められているかを明確にします。これは仕事の設計図を描くようなイメージで、ある仕事についてどのような目的で、どの様な手段を用いて仕事をするのか、仕事のプロセスはどのようになるかを書き出して明確にします。ほかにもインプットの情報・資料、アウトプットの情報・資料が何であるかを明確にしたうえで、それぞれの関係性も明確にします。作業ごとに手順書を用意して、体系的にまとめておきます。
STEP3 ロス・ムダの分析
次に仕事のロスムダ分析をします。分類された作業ごとに、仕事の流れの中でどのようなロス・ムダが生じているかを把握し、改善します。4大ロスや7つのムダなどの視点を使ってロス・ムダを見つけ、原因を深堀りし、対策を考えて改善していきます。
STEP4 時間管理
仕事自体の分析だけでは見えない時間のロスを改善するために、個人の時間の使い方を調査します。スタッフ一人一人が一日の時間をどのように使っているか、日報形式で時間の使い方を記録します。記録した情報を元に分類・分析を行い、時間ロスを改善していきます。
STEP3は仕事の自体のロス・ムダ分析であり、STEP4は個人の時間の使い方のロス・ムダ分析です。
間接業務改善の展開
上記の4ステップ行い、さらなる改善を考えてくときのポイントです。
① 数値管理
例えば仕事の単位ごとにコストを算定し、数値管理の基づいて問題点を明確にあぶりだし、改善ターゲットを絞り込んで効果的な改善を行うようにします。お客様ごと、製品ごと、発注単位ごと、伝票ごとに利益を計算できる状態にして仕事の利益率を見える化します。
数値を見える化することで改善ターゲットが明確になり、効果的な改善活動を行うことが可能になります。
また数値の見える化により仕事の判断基準ができて意思決定が迅速化・効果的になる他、仕事の変化、手間・工数が増加した時の利幅の変動も見えるので、お客様ごとの対応や営業行動の見直し、営業活動に有用な判断情報を提供するなどのことにもつながります。
② 情報技術・情報ネットワーク技術の活用(DX化)
仕事の流れの管理、個々の仕事の設計と管理・改善が可能になり、アナログレベルで改善行動が定着するようになると、次に情報技術・ネットワーク技術の活用(DX化)を検討します。
ITツールの導入によって仕事が効率化するということもありますが、一方で本来の業務がアナログの状態で混乱しているときにIT化をすすめると余計に混乱が生じることもあります。仕事の設計と仕事ごとの管理・改善ができる状態にしたうえで、IT活用、システム化等を導入検討していくと、さらなる仕事の効率化につながります。
間接業務改革の背景にある考え方
(1)生産性向上を実現すること
間接業務の改革は、単に時間短縮するだけでは足りません。生産性を上げなくてはならないので、インプットとアウトプットを見ていく必要があります。
時間をインプット、仕事量をアウトプットと考えた場合、生産性向上のパターンは次の4通りが考えられます。
① 時間を短縮する、仕事量を上げる
② 時間を維持する、仕事量を上げる
③ 時間を短縮する、仕事量を維持する
④ 時間を増やす、仕事量をさらに増やす
もし時間を短縮しても仕事量が上がっていなければ、生産性は上がったことになりません。間接業務改革は、インプットとアウトプットを見ること、時間と仕事量の関係を見ながら改善を進めていくことが大事です。
(2)全社的な取り組みに高めること
間接業務は何かの業務に対して間接的に貢献するという特性があるので、たいてい何か別の部署・別の業務に結びついています。したがって間接業務単体を見て改善を考えると部分最適に陥ることがあります。
全社を見渡してどの部署・どの業務と結びついていて、どのような貢献と成果の関係になっているかを分析して改善策を考えていく必要があります。
そのため間接業務改革は、他の部署の関係も見据えた全社的な取り組み・活動にしていく必要があります。
プロにも頼める間接業務改革
私が現場に入って間接業務改革の実行を内部支援します。
計画から実行、進捗管理、完了、報告まで支援して着実に成果を積み上げます。
コンサルタントが内部支援することを通して関わった社員がスキルアップして自分たちで業務改善を進めていくことができるようになります。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。