工場現場管理の格言集2
2025年10月12日【探求の時間】目標達成の秘訣2「思考の解像度を上げること」-漠然とした思いを分解する方法
2025年10月12日
【探求の時間】目標達成の秘訣1「行動の具体化」-あいまいな思いを具体的に考える
何かを達成したい、あるいは変えたいなと思うときに、どうしたらよいでしょうか。今日は行動の具体化について考えたいと思います。漠然とした「こうなったらいいな」という思いを、どうやって具体的な1歩を踏み出すのか、どうやって確実な結果につなげていくのか、その核心に迫っていきましょう。
ものごとをあいまいに捉えていると具体的な行動を精度高く継続して実施することはできないものです。今年は健康に気をつけよう、仕事でもっと成果をだしたいとか、特に年始の抱負などはそうなりがちです。意気込みはあるけれど、何をどうするのかということになると、とたんにぼやけてしまう。このぼやけてしまうという状態が、行動の大きなブレーキになるのです。
目標があいまいであると、計画もあいまいになる。計画があいまいであると、日々の行動も必然的にあいまいになり、効果測定も難しいし、結果として継続への意欲もそがれてしまう。なんとなくうまくいかないなと感じつつ、具体的にどこが問題なのか特定できなくて、結局なんとなく頑張るみたいなことになってしまう。
そこで具体的に考えることが重要になるわけですが、この具体的に考えることは、精度高く継続して実施することにも大きく影響します。たとえば健康のために運動するというようなあいまいな目標だと、ある日は激しく動き、次の日は全然やらないとか、ムラが出やすい。精度も継続性も担保しにくいわけです。これをたとえば具体的な目標、たとえば週に3回ウォーキングするというようにすると、行動の基準がはっきりするので、行動しやすいし実行もしやすくなる。あいまいさが行動のムラとか中断を招きやすいということです。
このあいまいさの負のループから抜け出すにはどうすればよいのでしょうか。行動科学アプローチに「結果を変えたければ行動を変えよ」という話があります。結果そのものを直接コントロールするのではなく、結果を生み出す原因である行動に焦点を当てるべきだということです。
結果というものは過去の行動の積み重ねによってもたらされた、いわば現象です。したがって未来の結果を変えたいと思うなら、変えるべきは未来の行動であるということです。
たしかに多くの場合、私たちが直接的にコントロールできるのは自分の行動です。結果、たとえばテストの点数やプロジェクトの成否、他人の評価などは外的要因が絡むので直接操作は出来ない。しかしその結果につながる自分の行動、たとえば毎日2時間勉強するとか、タスクXを期限までに完了させるみたいなことは、自分の意思で選択できる部分が大きいわけです。
もちろん、行動が結果を100%保証するわけではありません。外的要因、運やタイミングなどコントロール外の要素が影響するからです。でも私たちが主体的に働きかけて変化を起こすことができるのは行動の領域だということです。結果を見て一喜一憂するのではなく、その結果を生み出したプロセス、とくに自分の行動を冷静に振り返って改善していくという姿勢が重要になるわけです。
確かに、結果に振り回されず行動に集中する。なるほど「言うは易し」ですが、実際にはその行動を変えることが難しい。新しいことを始めたり、行動を変えたりするのは、骨の折れることです。
そこでいえることは、行動は思考から生まれるものなので、行動を変えたければ思考を変えていくことです。思考がいわば行動を生み出すための設計図であり指示書の役割を果たしています。もし設計図があいまいであれば、具体的な行動につながりにくい。たとえば、家を建てるときに「なんかいい感じの家を建てて」ということでは大工さんも困ります。これではどんな行動、つまりどんな建築作業をすればよいかがわからない。具体的な間取りや素材とか、デザインが描かれた設計図があってはじめて、具体的な作業に取り掛かかれるというものです。
なんとなく頑張る、というあいまいな思考からは、なんとなく何かをする、という効果の薄い方向性の定まらない行動しか生まれない。逆に、具体的な思考、例えばAという顧客に対して、Bという提案資料をつかって、Cのポイントを強調して、来週火曜日までにプレゼンを行う、というような明確な思考です。それに沿った具体的な行動を促して、結果として具体的な成果、望む結果へとつながる可能性を格段に高めることになります。これは「思考の解像度を上げる」ということです。思考がどれだけクリアで詳細であるかによって、行動の質、そして最終的な結果の質までかわってくるということです。
(目標達成の秘訣2「思考の解像度を上げる」に続く)
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。