【探求の時間】目標達成の秘訣1「行動の具体化」-あいまいな思いを具体的に考える
2025年10月12日【探求の時間】目標達成の秘訣3「実践と応用」-繰り返し練習して習慣にまで高める
2025年10月12日
【探求の時間】目標達成の秘訣2「思考の解像度を上げること」-漠然とした思いを分解する方法
前回の目標達成の秘訣1「行動の具体化」の最後に、「思考の解像度を上げる」という話をしました。思考がどれだけクリアで詳細であるかによって、行動の質、そして最終的な結果の質までかわってくるという話です。
では行動を変えるために「思考を変える」ことが必要として、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。「もっと具体的に考えよう」と自分に言い聞かせるだけではなかなか変わらないものです。そこで重要になるのが本日取り上げる「分解」という考え方です。
たとえばAという大きな塊を、A―1、A―2に分解し、さらにA―1という塊を、A-1-1、A―1-2に分ける。Bも同じように分解していきます。これは物事を具体化するためのプロセス、その方法論です。大きな目標とか、漠然とした捉えどころのないような考えを、より小さく管理しやすいように具体的な要素へ分解していくということです。すなわち、複雑な課題や大きな目標の塊を、実行可能な小さな単位にブレークダウンしていくという事が重要です。
漠然とした大きな目標、たとえば「売り上げを伸ばす」というものを具体的な行動計画に分解していくならば、新規顧客リストを作成する、既存顧客への新しい提案を行うというような、より具体的な行動目標にまで落とし込むということになります。
あるいは「健康になる」という目標ならば、A「健康になる」を、A―1「食生活の改善」とA-2「運動習慣の確立」に分解する。さらに、A-1「食生活の改善」を、A-1-1「毎朝の食事は○○にする」、A-1-2「夜9時以降は食べない」というように分解します。こうやって分解していくと、漠然としたものが手に取れるようなタスクに見えてきます。
この「分解」というアプローチは、思考を具体化して行動を促すために大変強力なものです。分解することで何から手を付ければよいかが明確になる。大きな目標の前だと立ちすくんでしまうこともありますが、小さなタスクであればこれならできそうと思います。確かに、「英語をマスターする」という目標だと途方に暮れてしまいますが、「毎日5分、単語アプリをやる」ということなら毎日できそうな気がします。
次に、分解されたタスクは進捗を確認しやすくなります。たとえば「英語をマスターする」というと進捗を測りにくいですが、「単語アプリを今日はやったか?」ということなら、明確に判断できます。そして小さなタスクを一つ一つクリアしていくことで、「できた」という達成感を頻繁に味わうことができます。これがモチベーションを維持して継続を支える上で大変重要です。
分解すること自体が行動へのハードルを下げて、進捗を見える化して、達成感によって継続を促す。これは一石三鳥くらいの効果がありそうです。
この分解という行為は、道筋を明確にするという事でもあります。たとえば料理のレシピを考えてみるとわかりやすいと思います。完成した料理だけをみてもどのように作るのかわかりませんが、材料を切るとか、炒めるとか、煮るとか、手順に分解されていれば初心者でも挑戦してみようと思えます。まさに料理のレシピのように、目標達成のプロセスを具体的なステップに分解するわけです。
ただ注意点もあって、分解しすぎると全体像が見えにくくなったり、タスク管理が煩雑になったりすることがあります。どのレベルまで分解するのが適切かは目標の性質や個人の特性によって調整する必要があります。目的を見失わない程度の適切な粒度で分解することが大切です。
とすると分解のスキル自体も練習して磨いていくことが必要になります。最初はうまくいかなくても、意識的に目標や課題を分解する練習を繰り返すことで、思考を具体化する力、そしてそれを実行可能な行動計画に落とし込む力は確実に向上していくはずです。
(目標達成の秘訣3「実践と応用」3に続く)
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。