「健康経営」の考え方を取り入れた工場経営とは?-わかりやすく解説-
2022年8月23日工場経営の業務改革に!「工場診断」サービス ‐工場の課題と解決の明確化
2022年9月23日
中小製造業/工場経営の「財務諸表分析」サービス-工場経営者に有用な意思決定情報を提供します
サービスの概要
当社では中小製造業/工場経営者に有用な意思決定情報を提供するために、中小工場経営に特化した財務諸表分析サービスを行っています。
財務諸表をもとに指標分析を行い、問題・課題を洗い出します。さらに必要に応じて管理会計の仕組みづくり、製品原価の「見える化」と改善の「仕組み化」を提案させて頂きます。
工場経営において財務諸表分析が必要な理由
財務諸表は1年間の経営の結果が表されており、経営者の成績表とも言われます。結果を見て、問題・課題を抽出して翌期又は将来の経営活動を改善していきます。
改善のポイントをあぶりだして徹底的に取り組むこともでき、成果につながります。
もし財務諸表分析をしないまま改善活動をしていく場合、根拠が薄く感覚的な対応になりがちで、実際に改善したとしても経営成果に結びつかないことが起こり得ます。
それよりは、まず財務諸表分析を行い、経営の血液の流れから検査をして、参考値と比較しながら改善点をあぶり出し、改善目標と立てて実践活動に落とし込んでいく方が有益です。
財務諸表分析から課題を抽出して改善目標を立て、実践活動に落とし込んでいくことにより、実践活動によって生まれた成果がそのまま経営成果につながります。ゴールがあいまいなまま出発したとしても行動も結果もあいまいになります。
反対に根拠を持って目標を明確にすることで、目標達成の行動も明確になり、結果も明確になるわけです。
当社の財務諸表分析サービスの内容
財務諸表分析は、比較の視点を持つことで問題・課題が見えてきます。比較方法は2つあって、一つは時系列比較です。過去の財務諸表の各項目を並べてみることで、年度の動きを見ることができます。
もう一つ比較は業界平均との比較です。中小製造業の場合、企業規模に応じて(~20人、~50人、それ以上)統計数値が公開されていますので(中小企業実態基本調査、中小企業白書など)、これらの数値を使って業界・規模の平均を当社で計算しています。
業界平均と比較して極端に低い場合、世の中の生産性向上の波についていけていない、と考えることができます。
もし「自社は大丈夫、何も問題は起きていない」と考えていたとしても、世の中の平均値を大きく下回る様な数値があれば、同業・同規模の他社と比較して生産性が低い場合も考えられます。
このような場合に何も改善しなければどうなるでしょうか。世の中の会社は生産性の進歩があるとなると、同業者と比較した時に競争力が相対的に低下し、顧客から選ばれない企業に転落してしまうおそれがあります。他社との比較で仕事を失ってしまうことになるので、「自社は大丈夫」では済まなくなってしまいます。
財務諸表分析サービスの進め方
財務諸表入手
損益計算書、貸借対照表、製造原価明細、販管費明細をみます。4年以上欲しいです。並べて時系列で比較します。
財務諸表分析
損益計算書、貸借対照表を使って「収益性」「成長性」「総合収益性」「効率性」「安全性」の分析をします。各種指標があるのでこれを計算し、業界平均と比較することで自社のレベルが高いのか低いのか、状態がわかるようにします。
また、製造原価明細を見て、原価の費目を見ます。主に材料費、労務費、経費の内訳や割合からその会社の業態・活動の特殊性が見えてきます。特殊性をふまえた考慮と平均値との対比を通じて問題点・改善点を見つけていきます。
販管費の明細も見ます。営業活動にどれくらいのコストがかかるか、何にお金を使っているかを把握してその会社・業態・活動の特殊性を見ていきます。
当社の財務諸表分析報告書では、業界平均を元にして数値のスコアを設定し、5段階評価の採点を出します。項目ごとの採点をもとにレーダーチャートにして示すこともできます。スコアを見ればどこが良くてどこが悪いか、偏りが一目瞭然で経営課題が見えてきます。
追加の重要事項検討
単に財務諸表を分析して指標を示すだけではなく、経営課題を抽出して次への行動につながる改善提案をすることが目的です。そこで下記の分析検討を加えます。
①キャッシュフロー計算書
中小企業の場合キャッシュフロー計算書が作成されていないので、当社でキャッシュフロー計算書を作成します。
キャッシュフロー計算書からは営業活動・投資活動・財務活動の資金の流れを把握します。
中小企業の会計の場合、投資・財務の動きがシンプルで、損益計算書・貸借対照表から読み取れる情報で十分ではありますが、それでもキャッシュフロー計算書を作ってみると資金の流入と使途の対応関係が見える化されて経営者としては有用な意思決定情報になります。
②変動費と固定費
変動費と固定費は財務諸表からはすぐには読み取れませんが、おおよその分類はできるので仮に変動費と固定費に分けてみて、その結果何が見えてくるかを検討します。
固定費が多いときには注意が必要で、経営が順調にいっているときはそれほど問題には感じず、つい油断してしまうのですが、売上がガクッと下がったときなどに固定費の高い企業は突然経営が苦しくなります。
経営者の感覚としても、もし経験の浅い経営者であれば、思いもよらず突然経営が悪化した、去年はあんなによかったのに・・・という感覚に陥るもかもしれません。私も経営者として自社の経営をしていますが、2020年に新型コロナの影響で仕事がストップ、売上が突然ダウンしました。しかし運よくというか、たまたま前年度に固定費圧縮改革プロジェクトを推進していたことがあって、売上が(収入が)急低下する中で何とか乗り越えられたわけです。
固定費が高いと損益分岐点が高く、売上が安定していて資金繰りに問題がない平時にはあまり切実な問題に見えてこないのですが、何かの環境変化で売上が下がったときにヒドイ目にあう、というわけです。
これは一度自分で恐怖体験をすると、経営者として大きく成長できますが、それでも悪い体験はしたくないので、普段から固定費は抑えておくようにします。
分析結果をお伝えするだけでなく、今後の改善案まで提案していく際には、必要に応じて原価の組み換え計算を行って貢献利益を算定したり、損益分岐点分析とCVP分析(例えば将来の売上計画に応じて原価・利益がどのように変動するかを見える化します)をして、経営判断に有用になるような意思決定情報を提供します。
③関連指標の分析と提示
小規模工場の生産性を見るときに、私は一人当たりの売上高を見ています。
一人当たり売上高は中小製造業のだいたいの平均値があり、統計から出てくる数値と、私が経験上(中小工場100社の分析をした経験)、工場の規模に応じた一人当たりの売上高を把握していて、それに基づいて工場の生産性の良否を見ていくようにしているからです。
一人当たりの売上高を手掛かりに、それに対して製造原価の内訳を見て、さらにヒアリングで裏付けを取ながら特殊性を把握していきます。
なお中小工場の場合、製造原価のうち材料費と経費は管理可能でないことが実際には多く、反面、労務費は経営管理者にとって管理可能な領域があるので、労務費が改善ポイントになることが多いです。
そして労務費のうち「時間」が管理可能であるので、人数と勤務時間に対する生産量・売上高を見て、その工場の生産性と特徴を見極めていきます。
その他、財務諸表の分析から得た気づきをもとに、必要な指標を設定して数値を提示して、経営者の意思決定に有用な判断情報を提供します。
④報告提案会の実施
財務諸表分析の結果をグラフや一覧表にしてお渡しいたします。特徴や傾向、業界における位置づけなどもお示しいたします。財務諸表からの情報だけでなく、私の経験則も用いて、今後の改善の道筋をお示しいたします。
なお中小企業の場合、製造原価は材料費も労務費も製品別に出ているわけではなく、総額で把握できるレベルです。それでも何か目安というか手掛かりは見えてくるので、必要に応じて製品別や工程別に踏み込んで分析していくことになります。
製品別原価計算の仕組み提案
ところで、中小企業では製品別の原価計算、工程別の原価計算などは行っていないことが普通なので、必要な詳細度を決定したうえで、製品別・工程別の原価計算ができるように仕組み作りを提案することがあります。
中小企業では形式上は製品原価計算をしておらず、小規模工場に行くと「ウチは原価計算なんかしない」と言われることがたまにありますが、それでも営業のときに見積りは出しているわけです。
通常は受注するときに見積りを出して値段を算定するわけで、このときにベテランの頭の中で様々な計算が行われます(属人化)。これは原価計算をしていないのではなく、原価計算をしているプロセスが見えていないのです。(なお本当に原価計算をしておらず、本当にどんぶり勘定で見積りを出している経営者もごくまれに遭遇します)
私は多くの会社でベテランの方の原価見積りの方法をヒアリングして言語化してきましたが、みな計算の仕方は基本的には同じで、単価と時間を見ながら原価の積み上げ計算をしていました。
たまに「ウチは原価計算なんで細かいことはしない」「どんぶり勘定でOK」なんて言う人に遭遇しますが、本当にどんぶり勘定をしているわけではなく、特定のベテラン社員が頭の中で精密な原価計算をしていて、それがだいたい実際の発生原価と一致しているから問題にならず、それで経営が成り立ってきたわけです。
とはいえ、あるベテランにしか見積りが出せないとなると、その人がいないと仕事が進まないということが起きるので、改善が必要です。
製品原価計算をするといってもあらたに複雑なシステムを入れるわけではなく、いま見積りを出している人からヒアリングをして、現場を見て突き合わせ、あとは私の専門知識に照らして原価を計算してみて、流れを把握したうえで「見える化」「仕組み化」をするようにします。
製品別・工程別の原価を把握することができれば見積りの精度が上がり、見積りのスピードが上がる、本来の得られたはずの利益を取りに行ける、採算を元に仕事の取捨選択の判断ができる、根拠を持って値上げや価格の交渉・設定ができる、そして原価の予実分析ができて原価改善活動ができる、などなど、メリットが目白押しです。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。