【探求の時間】目標達成の秘訣2「思考の解像度を上げること」-漠然とした思いを分解する方法
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目標達成の秘訣3「実践と応用」-繰り返し練習して習慣にまで高める
前回まで、目標達成の秘訣として、あいまいさの問題点、行動への着目、思考の重要性、そして思考を具体化する方法について考えてきました。思考が行動の設計図になって、その行動の積み重ねが結果をつくる。そしてあいまいな思考を具体的な設計図に変えるカギが、分解にあるということです。これを意識的に目標や課題を分解する練習を繰り返すことで、思考を具体化する力、そしてそれを実行可能な行動計画に落とし込む力は確実に向上していくという話をしました。
では、これをあなた自身の状況に当てはめて考えてみましょう。今あなたが達成したい目標や改善したいと思っている課題を何か一つ心に思い浮かべてみてください。その目標や課題について、どこかにあいまいさが潜んでいませんか。たとえば「もっと活躍したい」と思っているのなら、活躍するとは具体的にどういう状態を指すのか。誰から見てどのように評価される状態なのか。あるいは「ストレスを減らしたい」と思うのなら、ストレスの原因は具体的に何なのだろうか、減らすというのはどのレベルを目指すのか。まずあいまいな部分を見つけて特定することです。
そしてその得意したあいまいさを解消するために、思考をどう具体化して、行動をどう分解していくか。料理のレシピのように、最終的なゴールから逆算して、必要なステップを洗い出していくイメージです。たとえば、「仕事で活躍したい」なら、新しいスキルを習得する、担当プロジェクトで目標数値を達成する、チーム内での情報共有を改善する、というように具体的な行動レベルまで分解します。この思考と行動の関係、分解による具体化のプロセスを一度ご自身のテーマでシミュレーションしてみることです。最初から完璧な分解ができなくてもかまわないので、まずはやってみることで思考が整理されて、次の一歩がみてくるはずです。今何から始められるか、具体的な第一歩、それを考えてみるだけでも大きな前進になります。
思考は結果と行動に直結しています。あいまいな思考はあいまいな行動、具体的な思考は具体的な結果への扉を開く。つい私たちは目に見える結果ばかりを追いがちですが、その手前にある行動、その根源である思考へと目を向けること。その重要性を改めて考えさせられます。
ここまで考えてきた思考と行動の関係、それを効果的に機能させるための分解というアプローチ。これは仕事のタスク管理やプロジェクト推進はもちろん、資格取得のような学習目標、あるいはダイエットや禁煙などの健康・習慣改善、さらには人間関係の改善のようなプライベートの領域に至るまで、広範な場面に応用することができます。普段の生活に意識的にこの考え方を取り入れることで、漠然とした願望を手ざわりのある現実の成果へと着実に変えていく力になるはずです。
さて、最後にあなた自身に問いかけてみてほしいことがあります。それは、自分の思考が具体的であるかどうかをどうやって判断するのか、ということです。具体的であるとは、どういう状態を指すのでしょうか。たとえばその思考をだれかに説明したときに、相手が誤解なくあなたと同じイメージが描ける、そういうレベルでしょうか。あるいは、その思考から具体的な行動計画、何を・いつまでに・どのように実行するかを明確に導き出せる状態でしょうか。自分自身の思考の具体性をどう測るか。この問いについて思いを巡らせてみるのも次へのステップとして面白いのではないでしょうか。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。