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ペーパーレス化の必要性
工場ではモノの流れに合わせて情報が流れています。
モノの流れ(受注→材料→生産→完成)のあわせて、受注情報、生産計画、材料発注、生産指示。工程の進捗、工程間の移動、製品の完成。出荷計画、出荷指示に関する情報。その他、管理の情報として在庫情報、生産性の出来高管理、作業者の日報管理。品質・不良情報、コスト・リードタイムの情報など。
これらの情報伝達を紙媒体で行う場合、工場に多くの紙が存在し流通することになります。紙媒体はその都度人間が読み取って判断・対処するという手間が生じ、読み取りミスや紛失などが起こり得ます。紙媒体を回収し、パソコン入力をしてデータ保存するような場合には、さらに入力の手間と紙の保管の手間が生じます。
工場においてペーパーレス化を進めることによって情報の流れを効率化して、情報を紙に変換することによって生じるコストを削減し、抑制することができます。
紙媒体による情報伝達
ペーパーは情報の伝達手段として使われています。
工場では管理と現場、営業と製造、製造と出荷、工場と事務とで情報が流れており、場所・部署に距離があるので、情報を伝達するための媒体が必要です。
昔は人から人へ、口頭なり手書きメモで伝達されていましたが、記録、保存、追跡可能性などの社会的要請から、また仕事が多品種化・複雑化していった経緯から、紙媒体での記録と情報の伝達の機会が増えて、いつのまにか様々な種類の紙媒体が工場内を流通がするようになりました。
現場を見て回ると、生産計画が紙で掲示されていたり、生産指示書、仕様書、図面、進行表などが紙になって工場内を循環していきます。
品質やコストに関する情報、工程間の伝達事項、納期・変更情報なども追加的に紙で伝達されていきます。さらには手書きメモ在庫品や仕掛品にテープではりつけてあったりします。
ペーパーレス化の進め方
「目的思考」で考える
ペーパーレス化は目的と手段の関係で考えます。紙の目的と手段を考えて、目的を達するための代替手段を考えます。
「紙」は何のために存在するかと考えてみると、情報伝達の手段です。誰かに情報を伝える為の手段として、紙による伝達が選択されています。
しかし情報を伝達することを目的とした場合、それを達成する手段は紙以外にもあるはずです。そこで情報伝達ができる手段を紙以外の方法で行うようにします。
「工程分析」を行う
ペーパーレス化を局所的に改善していくのではなく、工場全体の業務の流れを見渡して、全社的にペーパーレスを進めるようにします。部分的にペーパーレスを行ったとしても、情報伝達の手段として紙が選択されている限り紙媒体は無くなりません。
全社的にペーパーレスを進めるときは、まず業務全体を見渡します。仕事を分類し、業務単位を定めます。次に業務単位ごとに、工程に分けます。分けた工程ごとに、作業要素に分解します。仕事を分解して構成要素一つ一つを具体的に捉えるようにします。
次に、分解して捉えた構成要素ごとに、どんな情報伝達の必要が生じているか、現在どのような紙媒体が使用されているかを書き出します。こうして業務全体を見渡して、工場で使用されている紙媒体の存在を把握します。
紙媒体の存在を把握したら、存在している紙媒体は誰から誰に、いつまでに何を伝えようとしているのかを定義します。個々の紙媒体の目的を定義して、その目的を達するための代替手段を考えます。
ITツール活用の注意点
紙媒体の効率化というとITツールの活用が思いつきますが、いきなりITツールを導入したとしても、解決しない場合があります。
まず全社的に業務を見渡して、アナログで業務の流れ・情報の流れ・モノの流れを把握したうえで、情報伝達の目的を定義するようにします。この目的に照らして、解決する手段を選択するようにします。
目的に適したITツールを使うことで、業務は大きく効率化します。
目的に対応しているかどうかをあいまいにしたまま身近なITツールを適用したために、失敗する例があります。現場でITツールの手続きと実際のモノ・情報の流れが分離して、二重に業務が発生しているような現場が実際にあるわけです。
ITツールを活用するときは、①業務の流れをアナログで整理して、②仕事の目的を定義すること、③目的に対応する手段を選択する、という基本原則を守ることが大事です。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。