2023年度中部VE研究会の担当講座
2023年2月1日中小企業の物流改革コンサルティングサービス
2023年2月2日
中小工場の改善-改善活動を活性化するにはどうしたらよいか
改善活動の必要性
改善活動は生産性を高めていくための手段です。
もしライバル企業が改善活動によって生産性を高めていくことをしていたとして、もし自社が改善活動をせずに生産性が停滞していたら、お客様は生産性を向上させていく企業と取引します。
会社の中で自分中心に考えていると、「改善活動なんて」「自分の仕事じゃない」と言う人が現れてしまいますが、会社の外に目を向けてください。世の中どの工場も改善活動をしています。改善をして生産性を高める努力をしています。自分だけしなかったらどうなるか、ということです。
時代とともに世の中の環境が変わるから、仕事の方法・加工方法も変わり進化していきます。お客様の要求も変わり、より高度で複雑なものを求めるようになっています。どの会社も世の中の変化に対して適合しさらに進化しようと自己改善を行って努力しています。
それなのに改善しない会社はどうなるでしょう。日々工場を訪問していると、「改善なんで自分には関係ない」なんて言っている人にたまに遭遇しますが、改善をせず職場の中にこもっていたら、そのうち選ばれない会社になって、仕事自体がなくなってしまいます。
改善活動を始めるなら
これから改善活動を始めるときは、3段階くらいで仕組みづくりのステップを設け、ステップアップ方式で導入することをお勧めします。
まったく改善活動をしてこなかった会社が、いきなりQCの難しい理論や高度なツールの詳細説明から入ると、社員は心にカベをつくって拒絶してしまいます。それよりは現状レベルを知ったうえで「できる」「わかる」「なんとかなる」を積み上げていくように接していきます。
まずは身近な改善がどういうものかを知って、自分で考えて体を動かしてみることです。振り返ってみれば誰でも自分の仕事を工夫して、より良くしてきたことがあるはずです。それが身近な改善です。
慣れてきたら次に5Sとかムダとりとか、効果がすぐに実感できる改善に取り組みます。自分の身の回りが整理整頓されて仕事にムダがなくなってくると、仕事がスムーズになって心も体もスムーズになります。ストレスが減ります。時間の使い方が変わってきて仕事に対して前向きになってきます。
小さな成功を積み上げてきたら、次は成果の上がる改善に取り組みましょう。数字を使って見える化したり現状分析の仕方を教えたり、対策の新しい方法を一緒に考えたりして、現場を変えていきます。
成果の上がる改善は大きなものが2つあって、1つは時間に関する改善です。何かの時間を短縮することができる改善をします。時間を短くするにはどうしたらよいか、と言う改善です。2つ目は加工方法の検討や技能向上など、作業自体の改善です。これらは普段の仕事そのものの改善なので、関心高く取り組める人が多いです。
なお最初から最高レベルのアウトプットは求めませんが、求めるレベル・目指すレベルは示していきます。安易に基準を下げると次に上げるのが大変だからです。
改善活動をすでに始めているなら
改善活動をしてきたがイマイチ活性化しない、成果が出ない、マンネリ化・・ということがあります。
これも段階があります。
第1段階 5Sやムダとりをしている
改善のテーマが5Sや身近なムダとりに関することに偏って、そのうちテーマが見つからなくなってきます。改善のためにテーマを絞りだしても無理があり、時間をかけて取り組んだ割に成果が小さくて、意欲が次第に下がっていきます。
こんなときは第2段階のテーマに目を向けていくとよいです。
第2段階 QCD・技能向上に関することに取り組む
ムダとりはマイナスをゼロに持って行くものなので本来はやって当たり前で、よほどムダであふれている職場でなければ、成果も会社からの評価も大きくなりません。
そこで次のテーマとして、QCDに関わることでテーマを考えるようにします。
工程・作業、仕事の流れ・モノの流れを把握します。作業を分解します。作業ごとに問題点を見つけます。テーマは品質レベルの改善(バラつき→安定)、新しい加工方法の検討、リードタイムを20%短縮する方法、情報とモノの流れの整理、最適な在庫量を見極める方法などを考えるようにします。
これは今の仕事のやり方がベストであるとしても、もっと良い方法はないかと考えて新しい仕事のやり方にステップアップしていくものです。仕事に直結するので社員の関心も高く、成果も高くなります。変化と成果が実感できれば、社員も関心が上がり意欲向上につながります。
会社から大きな目標を提示して、各チームで職責に応じて改善目標を立てていくのも良いです。小さなテーマを立て続けているとそのうち飽きてくるので、会社として大きなテーマを提示して、達成する手段をそれぞれ考えさせるようにします。
第3段階 経営計画と改善が連動するテーマを立てる
第2段階の取り組みが定着してきたら、飽きが来る前に経営計画と連動した改善活動にステップアップします。
3年くらいの経営計画があるでしょうか。売上や資金の計画だけでなく、人・設備・技術の計画、生産性の計画、新事業・新顧客開拓の計画、新しい仕事の受注計画などがあれば、これを達成するための目標を小分割して各職場に割り振って、改善チームごとに目標・改善テーマを立てるようにします。
改善の目標達成が積みあがることによって経営計画の目標も達成されるという、目標の一貫性の仕組みを作るようにします。こうすれば社員一人一人が経営参画の意識と行動が身近になって組織への貢献、自分の存在意義、役割と責任などが見えてきて、仕事に対する意識が高まってきます。
活動の時間割
活動の時間の使い方は、成熟度に応じて3段階あります。
第1段階
改善を初めて始める、改善になれていない場合
最初は時間を取る必要があります、週に30分~1時間、集まって話し合う時間を取って日々改善と接することができるようにしていきます。
すぐに実行できるような小さな改善を集めていくと良いです。
第2段階
改善がすぐに消滅せずになんとか続いていくようになっている場合
月1回~2回、1時間でも集まって継続会議をします。
1テーマのサイクルを3か月ぐらいにして活動を継続的に回していきます。
経営者・管理者による社員への進捗の確認、日々の声掛けや励まし、アドバイスなどが重要になります。
第3段階
改善が板についてきたら、6か月で完結するような大きめのテーマを掲げます。6か月の間に進捗管理をして、日々PDCAサイクルを回していけるようにします。
進捗が見えるような仕掛けが必要です。
まとめ
上記に書いたことは教科書に載っているような話ではなく、私の工場改善の経験を振り返って、経験から導かれた方法です。なのでいつでもこうすればうまくいくということではなくて、自社の業態や生産に合わせて適した方法を考えていくことが必要です。
ただ、小規模工場において、改善が上手くいっていない会社の共通点を見ると、時間の投資が足りないことがほとんどです。新しいことを始めるときには時間が必要で、成功に必要な時間を過小評価していないでしょうか。現場では日々仕事に追われ、非効率な方法でやらざるを得ない状況に置いて、最初に時間を取らずに改善させようとしても、それは無理なことです。改善をしろといいつつ、考えることをやめて手を動かせというような状況に陥り、これでは現場の社員は改善したくてもできません。
考えて改善してより良い方法で仕事をする・・このサイクルをいかにスピーディに回していけるようになるか、習慣化できるかどうか、ということがポイントです。スピーディに回す行動習慣がついてくればあえて時間を取らなくても改善が進むようになります。
この域に到達するために、最初のうちは時間を取って「考える時間」「改善する時間」を会社としてつくっていくことが必要で、この時間を投資と捉えることが成功のポイントです。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。