小規模工場・製造現場において改善活動が活性化しない場合の理由
2022年6月19日5S活動-製造業で行われる5S活動とは?初心者にもわかりやすく解説
2022年6月19日
作業の標準化を進めるための出発点は作業手順書です。QCDのレベルアップは作業手順書から!
作業手順書が必要な理由
作業手順書は、製造現場の作業においてばらつきをなくし、QCD(品質・コスト・納期)のレベルを一定以上に確保するために会社として定めた作業方法・基準(取り決め)を文書化したものです。
質の高い作業を行うための基本は、作業の設計です。まず作業設計を会社として定めて基準を設けます。社員は会社の定めた作業を実践してQCDを確保するとともに、改善の知恵を出しながらレベルアップをしていきます。
もし作業手順書がないと、もしくは作業手順書があいまいであると、社員それぞれ思い思いに行動し、思考がバラバラ・行動もバラバラ、結果もバラバラで、QCDにばらつきが出るわけです。
最近はベテラン技能者が退職し、若手による作業、初心者による作業が増えている工場も多くなっています。その場合、今まで長い間起きていなかったような不良が出たり、思いもしない場面でケガが発生したりすることがあります。
これはベテラン社員が今まで自分固有のノウハウとして不良対策・ケガ対策を実践してきたからであり、これが会社のノウハウとして引き継がれていない場合には、ベテラン社員の退職後に不良やケガが頻発することがあるのです。
こんな症状が出ている工場では、一度作業手順書を見直すことが有効です。作業設計から見直し、会社の基準を取り決めて、そのうえで仕事を教え、技能を育てていくようにする必要があります。
こんなリスクの備えに作業手順書を活用する
経営環境の変化、外部要因に対する社内体制の見直し、変化、環境適合に。
生産/製造現場の環境変化
(生産の変化)
・多品種化、多仕様化、単品生産化、オーダーメイド化
・段取り替えの回数増、工程・工数の増加、作業の煩雑化
・品質基準の厳格化、短納期要請・変更頻繁化
生産環境の変化に適合した手順書・標準書・標準化活動が求められています。
(物流の変化)
・在庫保有リスク、在庫が持てない
・出荷準備の多頻度化、多頻度納品、配送ネットワーク、配送拠点
・材料の調達管理の複雑化、多頻度化、高騰・資源不足
物流環境の変化に適合するための手順再構築が必要です。
資源、ヒトのリスクに備える
・ベテラン技能者の退職、転職・定着の問題
・雇用流動化、雇用者の多様性
・不良、ミス、ケガの多発、再発
・人件費・管理費の高騰
・働き方改革(時間の管理、時間の短縮、時間の生産性)
技能の在り方、学び方・教え方、ノウハウの蓄積の仕方が大きく変化しています。時代に合った手順書づくり・標準化活動が必要です。
(管理間接部門)
・業務の煩雑化、複雑化、コスト増
・最小人数化、負荷・時間の増大、働き方改革(時間の管理)
時間の使い方、管理の仕方に大きな変化があり、人の意識と共い仕事の進め方やマネジメントの仕方を再構築しなければならず、間接部門においても標準化活動が効果的です。
(営業部門)
・顧客ニーズの複雑化、専門化により、個人事業主的な対応では限界がある
・製造業の工場営業においては、営業マンが社内でライバルのようになっていては対応しきれない
・営業マンによる能力の差、対応にばらつきが出て、顧客ニーズに適切にこたえられない
・営業活動においてエンジニア的なスキルが求められるようになり、開発者・設計者・技能者の営業場面への参画が欠かせなくなっている
昔ながらの個人営業スタイルからチーム営業スタイルに体制シフトし、各人が専門化したうえで知恵を出し合い、チームとして顧客に対応していうことが競争力を上げる近道になっています。
営業組織の見直し、営業方法の見直し、そして営業活動のノウハウ蓄積と共有の仕組みが必要・・ここに手順書づくりと標準化活動が役に立ちます。
作業手順書導入のためのステップ
STEP1 準備
1. 全体ヒアリング
2. 分類、類型化、体系化
3. 優先順位付け、作成計画
4. 進捗と報告の計画
STEP2 実行
1. 作業担当者ヒアリング
2. 作業観察、動作分析
3. 作業手順書仮制作
4. 再度、現場観察及び動作分析
5. 最終ヒアリング
6. 承認、完成
<組織的・体系的に整備する>
組織的な作業手順書体系を作ることは、作業のQCDを高めていくために不可欠であるとともに、現場作業だけでなく他部門(管理部門、間接部門、営業部門)との社内連携・知恵の共有を進め、顧客に対する貢献価値を高め、ひいては企業価値を高めていくための、重要な根本的施策です。
<技能伝承と組み合わせる>
作業手順書づくり自体がOJT・技能向上の有効な手段になることがあります。
ベテランと若手のコンビに外部専門コンサルタントの3者タッグを組んで、討論と作業観察の繰り返し、気づきの誘発などを行います。このように作業手順書づくりと技能伝承・OJTを組み合わせる方法も効果が出ています。
作業手順書の作成はプロにもお任せ
作業手順書づくりをお手伝いします。
手順書づくりの有効性必要性は感じているが、社内で実施できる人材・時間が不足しており、なかなか着手できないでいる・・・というときに相談ください。
現場での実地ヒアリングをふまえて現場作業者の参画型で作成を支援しています。
<目的によって最適なものをつくる>
・新入社員向け
・一般社員向け
・管理者向け
・技能初心者向け
・技能中堅者向け
※タイプによって焦点の当て方や表現の細かさが異なります。
<手段を選ぶ>
・画像主体で作る
・文章主体で作る
・動画でつくる
・上記の組み合わせ
※対象となる技術のよって最適な手段をご提案致します。
<周辺資料の作成も対応>
(例)
・大手の取引先に対応できる作業要領書
・品質監査に対応できる作業要領書
・機械操作、修理保守点検に関するもの
・生産前後の付随作業
・5Sマニュアル
・安全マニュアル
・工程管理のための進捗管理表
・生産計画、生産管理表
・QC工程表
・品質チェックシート
中小工場において、社内に一定レベルの文書を整備したい、情報を整理したいというニーズにお応えします。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。