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2026年2月23日
日々の業務に没頭しているといつのまにか作業をこなすこと自体が目的になってしまいます。今日は日々の仕事の中で生産性を上げる考え方・取り組み方について話したいと思います。生産性を上げる着眼点として、①目的を問う、②プロセスを分析する、③継続学習の3つの視点でみていきます。
①目的を問う
仕事は手段であり、本来目的があるはずです。例えば毎月の定例会議の報告書作成で時間に追われているとします。いつも時間に追われて報告書を作ること自体が一大イベントになっている。でもそもそも本当の目的は何でしょうか。手段の目的化というワナに陥っていないでしょうか。
たとえば報告書を例にとると、見栄えのいいグラフをいれたり、隅々までデータを網羅したり、完璧な資料をつくろうとしてしまいます。でも、本来の目的はそこにはないはずです。本来の目的はおそらく、参加者が現状を素早く理解して、次のアクションについて意思決定を促すことです。そう考えると、完璧さの定義が変わってきます。情報量を増やすことではなく、いかに速く正しく意思決定をしてもらうかがゴールになる。
そうなれば、情報は3点に絞ったほうが伝わりやすいな、この詳細情報は補足資料十分だ、とか、そういう判断が出来ます。これが目的に照らして考えるということです。たとえ完璧な100ページの資料を作ったとしても、議論が発散して何も決まらなかったら、その仕事の目的は達成されてない、ということです。
②プロセスを分析する
目的という北極星が見えたら、次はその目的にたどり着くための地図作りです。それがプロセスの分析であり、そのための強力な武器が作業分解です。
作業は構成要素のかたまりですので、これを構成要素に分解します。たとえば工場の加工作業で言えば、1段取り作業、2加工作業に分けることができます。1段取り作業は、たとえば1-1道具類を用意する、1-2金型をセットする、1-3機械の設定をする、というように分けることができます。さらに加工作業については、2-1位置を決める、2-2加工を始める、2-3仕上がりを確認する、といように細かく分解できます。
作業のかたまりを具体的に分解すると、改善点が具体的に見えてきます。この作業については他の方法がないかな、ここは手間取って時間のロスがあるな、重複や繰り返し作業のムダがあるなというように。一つ一つの動作まで分解していくと、対象の姿が細かく見えてきて具体的な改善点が見えてきます。
そして、改善した要素動作を体系的に組み立て直すことも重要です。分解して改善するだけでは個別の動作を改善するだけだと効果は足し算にしかならず、個々の改善だけでは全体の時間は大きく短縮されないかもしれない。そこでフォーマンスを掛け算にするのがこの再構築のステップです。改善した動作をもう一度一連の流れとして最適化します。
たとえばこの加工作業を動かしているうちに、次のこの準備をしておこうとか、事前に道具類を複数パターン用意しておいて、対象によって差し替えるだけにしておこうとか。このように改善した要素を再構築して、全体の流れをスムーズにすることによってパフォーマンスがさらに向上します。目的を明確にして、プロセスを分解・改善、それを最適に組み立て直す。という流れです。
③継続学習
次のステップは継続学習です。継続学習は、習熟効果を得るための活動と捉えます。前のステップを何度も繰り返すことが思考の精度とスピードを上げるトレーニングになります。最初は大変でも、2回目3回目とサイクルを回すごとに、改善の勘どころが分かってきて、より少ない労力で、より本質的な改善ができるようになる。サイクルを回すこと自体がトレーニングになるのです。
そして、継続学習を最もパワフルに加速させるコツが、「人は人に教えるときに最もよく学ぶ」ということです。これはただ一人で黙々と改善を続けることよりも効果的です。なぜなら人に何かを教えようとすると、自分の知識や経験をあいまいなままにしておけないからです。「何となくこうやったらうまくいった」では相手に伝わらない。なぜうまくいったのか、その本質は何だったのかを自分の頭の中で一度体系化して、論理的に再構築する必要に迫られます。
例えば、誰かに仕事の進め方について質問を受けて教えようとするときに、自分の実践してきた仕事の目的や、プロセスを分解を説明しようとすると、そういえばこのタイミングで自分はここに気をつけているな、こういう点を見ているな、これが仕事を確実に進めるポイントだったのかとあらためて気づいたり。というように、自分自身の無意識の行動を言語化して、その意味を再発見することになります。このプロセスこそが最も深く確実な学びにつながるのです。
教えるという行為が、強制的に自分の経験を振り返って、名前を付けて整理する機会になります。それならただ一人で振り返りをしようと意気込むよりも、ずっと具体的で実践的です。誰かの役に立とうとすることが結果的に自分の学びを深めてくれます。
まとめ
ここまで話してきた生産性を高める3つの着眼点は、それぞれが独立しているわけではなく、これらは少しずつ上昇していく、らせん階段の成長サイクルを形成しています。
目的を問うことから始まって、プロセスを分析・改善する。そしてその経験から学ぶ。その学びによって、あなたは以前よりも少し高い視点とか、広い視野を手にしているはずです。すると、今度は同じ仕事でも、もっと高いレベルで再び目的を問い直せるようになるのです。
この報告書の目的は?からはじまって、そもそもこの定例会議の目的は?さらにはこの部署・組織の目的は?というように。最初は小さな自分の仕事の改善から始まったのに、それを繰り返すうちにどんどん視座が上がっていくイメージです。これはまさに成長そのものです。そのサイクルを回し続けること、それこそが継続学習であり、自己成長の本当の姿なのです。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。