四日市商工会議所にて工場診断ツール紹介!
2022年5月12日離職率が高く入社3か月未満の退職者が多い工場・製造現場の共通点
2022年5月17日
中小企業・製造業・工場の経営コンサルタントの仕事をしています。特に20人規模の工場の生産性向上を支援しています。普段当社が行っている業務から、よく見られる工場の困りごとと主な解決策を紹介します。
5S
中小企業・製造業・工場の生産現場では、整理・整頓が行き届かずに、モノが多い、モノがあふれて散乱している、片付かないということがあります。工場に限らず、倉庫も片付いていないことがあります。それによって仕事のロスが多く(特に4大ロス:探す、迷う、手待ち、やり直し)、ミスも多い、というトラブルが起きます。
そこで工場や倉庫の5S(整理、整頓、清掃+清潔・習慣化)を計画的に進めます。まず整理をして・職場の物・情報の量を最適化し、次に整頓をして物・情報の住所を決めて表札を出すようにします。モノが減って片付いた状態で隅々まで清掃をします。この状態を維持継続して、習慣まで高めるようにします。継続と習慣化にはコツがあって、自己目標・自己測定・自己評価の考え方を現場に取り入れていきます。
品質管理
中小企業・製造業・工場の生産現場では、4M(材料、機械、人、方法)にバラつきがあり結果が安定しない、トラブルが繰り返し起きるという困りごとをよく見かけます。品質管理の仕組み化ができていない、品質管理に対する人の意識が追い付いていない、ということが原因です。
そこで品質管理の体制を整備します。ISOを取得するまでいかなくても、ISOの考え方を取り入れつつ、自社に経営目的や現状に合った独自の品質管理の仕組みを作っていきます。顧客・銀行・取引先・求人時等に自信をもって説明できるレベルの品質管理体制を作り上げていきます。
コスト見える化
中小企業・製造業・工場の生産現場では、どれくらいの製品・加工コストがかかっているか見えない、製品別の原価がわからない、判断できないという困りごとがあります。
また、社員のコスト意識が低くロスがへらない、そのためムダ・ミス・ロスによってどれくらいの時間を失い、どれくらいのコストが余分にかかっているかわかるようにしたいというニーズがあります。
こんなときは、コストの見える化と管理・改善のための仕組みづくりを進めます。社員の意識改革としては、コストと利益の関係の理解、利益がなぜ必要なのか、自分にとってどのような関係があるのかの理解を深められるように、現場での実体験の場をつくっていきます。
リードタイム短縮
中小企業・製造業・工場の生産現場では、リードタイムを短縮するというニーズが強く存在します。多品種化・少量生産・多頻度納品化していく時代において、リードタイムの管理ができていないと仕事の競争力に大きく影響します。
リードタイムを改善していくためには、まずリードタイムを把握します。そして時間の使い方を見える化します。誰が何にどれくらい時間を使っていて、どの製品にどれくらいの時間がかけているか、見えるようにします。そのうえでロス分析をして、工程改善・作業改善をしていきます。
リードタイム短縮の改善活動は、残業が多い、人によって仕事の偏りある、判断や仕事の進行に何かと時間がかかっている・・という問題も解決することができます。
改善活動
中小企業・製造業・工場の生産現場では、社員の自主性、主体性が欲しい、社員から改善提案が出てほしい、という期待ニーズが存在します。そこで改善活動を社内で始めるわけですが、行き詰ったり長続きしなかったり、改善活動をしているがマンネリ化しているというような困りごとを目にします。
こんなときは、改善活動の見直しと再構築を行います。改善活動をする目的、共通の目標、課題抽出、改善の方法、スケジュール、役割分担、評価と報告、表彰の仕組み。全体としてPDCAサイクルが回り続けていくための仕掛けを取り入れ、社員が成功体験を積み上げられるようにして、活性化していきます。改善チームをいくつか作ったら、コンサルタントがメンバーの一員として入り、内部から活動を支援します。
作業改善・標準化
中小企業・製造業・工場の生産現場では、作業のバラつきがあって困ることがあります。人によって作業時間がバラバラ、作業ミス・不良が多い、作業習得に時間がかかる、引き継ぎができないなどです。これにともない、作業手順書をつくりたい、作業手順書を活用したい、標準化を進めたいというニーズもあります。
まず作業手順書づくりから入ります。これは仕事を設計する作業です。モノの設計図が必要なのと同じで、作業にも設計図が必要です。手順書は多品種単品多仕様時代に合ったものを作るように工夫します。
さらに会社として満たすべき基準も定めて、会社の基準に照らして良否が判断されるような仕組みにしていきます。基準が決まった上で、トレーニングの場をつくり、作業展開していくようにします。それでもバラつきが出るときに、原因分析をして、焦点の絞った具体的な特訓をして改善し、腕を上げていくわけです。
技能伝承
中小企業・製造業・工場の生産現場では、ベテランから若手への引き継ぎがうまくいかない、若手の技能者が育たない、期待の新人がすぐにやめてしまうというような問題が起きることがあります。主たる原因として、教える仕組みがない、教え方の標準化が進んでいない、学べる環境が整っていない、ということが考えられます。
そこで技能伝承の仕組みづくりが必要になります。ベテランへのヒアリング、技能の言語化、作業手順書・技能ポイント集作りをはじめ、現場OJTシステムによる教育訓練機会の創出、年度のOJT報告会、さらに体験学習の場、習熟度評価の仕組み化を行います。他に、学びたいときに学べる、調べたいときに調べられる環境を用意するとともに、考えて行動する・振り返って気づきを得ることを仕事の中に織り込んで、自ら成長できる環境づくりをします。
生産管理
中小企業・製造業・工場の生産現場では、生産計画がなく押し寄せる仕事をとにかくこなす日々、仕事に追われて改善どころか修正もままならず、忙しいばかりでQCDのレベルがなかなか上がらないということがあります。
忙しいことを理由にして日々の仕事に流されて、QCDのレベルが下がっていくようでは、未来の仕事を失いかねませんので、切実な問題です。
そこで、生産活動のPDCAサイクルがきちんと回っていくような仕組みをつくり、日々行動を修正し改善していくことができる環境を作っていく必要があります。
多品種・単品生産・多工程の時代において並行的に大量の仕事が流れているような場合でも、時代に合った生産計画の立て方があり、PDCAサイクルを回していくための管理の仕組みがあります。
納期を見て仕事を考えるのでなく、着手日を中心に管理してモノをスムーズに流すように計画を作っていきます。計画があれば、実行と比較して改善点も見えてきて、PDCAサイクルが回るように現場が変わってきます。
物流改革
中小企業・製造業・工場の生産現場では、モノの流れが悪い、停滞している、モノであふれている、欠品が出る、出荷トラブルが多い・・など物流に関する問題が見られます。また、在庫管理をしていないケースもあり、在庫の差異が多く(帳簿と実地の差)、棚卸は混乱し、これらが時間ロスを生み、利益を圧迫していることがあります。
モノの停滞場面を捉えて改善し、モノの流れをスムーズにします。出口と工程の変わり目などが改善の着眼点になります。5S、整流化、リードタイム短縮が対策として上がります。
在庫管理としては、在庫削減、受発注管理、在庫差異改善、棚卸業務の効率化の改善を行います。
これらの改善を行い、アナログでモノの流れと管理ができるように地ならしをして、その後にシステム化を検討します。アナログで混乱している状態でシステム化に走るとさらに見えるものも見えなくなって、混乱が増幅します。システム化の前にアナログで仕事を整理して、モノの流れをスムーズにし、モノの流れを管理できる状態にすることが大事です。
株式会社技術経営フロンティア・代表コンサルタント。中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科修了・修士(経営管理学)。日本中小企業学会、日本物流学会所属。公益社団法人日本バリューエンジニアリング協会正会員・専門家登録(Value Engineering Specialist)。